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業務改善2026.03.19

属人化は"優秀な社員"がいる会社ほど起きる。今日からできる3つの対策

属人化は"優秀な社員"がいる会社ほど起きる。今日からできる3つの対策

「あの人に聞いて」が口グセになっていませんか?

「それ、田中さんに聞いて」 「在庫のことは佐藤さんがわかるから」 「シフト? あれは鈴木さんが作ってるよ」

社内でこんな会話が日常になっていたら、要注意です。

これは「頼れる社員がいる」という話ではありません。「その人がいないと業務が止まる」という、会社にとっての大きなリスクです。

私は中小企業の現場を数多く見てきましたが、この状態になっていない会社の方が珍しいくらいです。シフト作成、広告の作り方、在庫数の管理——どれも「あの人の頭の中」にしか入っていない。

そして怖いのは、社長自身がこの状態に慣れてしまっていること。今日はその「慣れ」を一度立ち止まって見直す記事です。

属人化の正体は3つある。「知らない」「持っていない」「できない」

「属人化」とひとくくりにされがちですが、実は3つのパターンがあります。自社がどれに当てはまるか、考えながら読んでみてください。

パターン①:あの人しか「知らない」

やり方や手順が、特定の人の頭の中にしかない状態。マニュアルも手順書もない。聞かないとわからない。

「在庫の発注って、いくつになったら頼むの?」「それは佐藤さんが感覚でやってるから……」。こういうやつです。

パターン②:あの人しか「持っていない」

情報やデータが特定の人のパソコン、特定の人のノート、特定の人のExcelにしかない状態。

「先月の売上どこにある?」「田中さんのパソコンの中」。共有フォルダもないし、そもそも共有するという発想がない。

パターン③:あの人しか「できない」

技術やスキルが特定の人にしかなく、他の人では対応できない状態。

広告のデザイン、機械の調整、見積もりの計算ロジック。長年の経験で身についたもので、簡単には引き継げない。

この3つは別々の問題に見えますが、根っこは同じです。「共有する仕組み」がない。 やり方を書いた紙もない。データの置き場所も決まっていない。教える手順も整っていない。

なぜ属人化は起きるのか? 原因は「優秀な人」にある

ここで1つ、意外な事実をお伝えします。

属人化は、ダメな会社で起きるのではありません。優秀な社員がいる会社ほど起きます。

理由はシンプルです。優秀な人は、自分でやった方が早い。人に教える時間がもったいない。だから自分で抱える。周りも「あの人に任せれば安心」と頼る。結果、その人の頭の中にどんどん業務が溜まっていく。

これは誰が悪いという話ではありません。忙しい現場で「手順書を作る時間」なんてない。目の前の仕事を回すのが最優先。当然です。

でも、その状態が続くとどうなるか。

その人が体調を崩したら? 急に辞めることになったら? あるいは、家庭の事情で1週間休むことになったら?

「あの人がいないと回らない」は、裏を返せば「あの人が休めない」ということでもある。優秀な社員を追い詰めているのは、実は会社の仕組みの方なんです。

システム導入の前にやれることがある

こういう話をすると、「じゃあ何かシステムを入れないといけないのか」と思うかもしれません。

結論から言います。まだシステムはいりません。

私はIT支援の会社をやっていますが、属人化の解消にいきなりシステムを勧めることはほとんどありません。なぜなら、システムを入れても「そもそも何を共有すべきか」が整理されていなければ、ただの高い箱になるからです。

必要なのは、もっと手前のことです。

紙1枚とペンがあればできる。Googleドライブの無料アカウントがあれば十分。大事なのはツールではなく、「共有するという行動」を始めることです。

ここから、今日すぐにできる3つの対策をお伝えします。

対策①:「あの人の頭の中」を1ページだけ書き出す

最初にやるのは、マニュアルを——と言うと身構えるかもしれません。

安心してください。完璧なマニュアルなんて作らなくていい。 1つの業務について、A4用紙1枚に書き出す。それだけです。

書くのは3つだけ。

  • 何をやるか(作業の名前)
  • いつやるか(毎朝、月末、注文が来たら、など)
  • どうやるか(手順を3〜5ステップで)

たとえば「在庫の発注」なら:

① 毎週月曜に在庫棚を確認する ② 残り10個を切った商品をリストに書き出す ③ 発注書のテンプレートに数量を入力する ④ 仕入先にメールで送る

これだけでいい。細かいコツや例外は、後から書き足せばいい。

大事なのは、「頭の中にしかなかった手順」が紙の上に出てきたという事実です。これだけで、属人化のパターン①「知らない」は半分解消されます。

「でも、うちには書き出すべき業務がたくさんあって……」

全部やろうとしないでください。まず1つだけ。 一番「この人が休んだら困る」と思う業務を1つだけ選んで、書き出してもらう。それが第一歩です。

対策②:書き出したものを「みんなが見れる場所」に置く

手順を書き出しても、その紙がその人の机の引き出しに入っていたら意味がありません。

次にやるのは、「置き場所」を決めることです。

高いシステムはいりません。選択肢はいくつかあります。

  • Googleドライブ(無料で使える。スマホからも見れる)
  • 共有フォルダ(社内にサーバーがあるなら)
  • 紙のファイル(デジタルが苦手なら、事務所の棚にファイルを1冊置くだけでもいい)

ポイントは「どこを見ればわかるか」が全員にとって明確であること。置き場所が決まっていないと、せっかく作ったマニュアルが行方不明になります。

たった1つの場所を決めて、「業務の手順はここに入れる」というルールを作る。それだけで、パターン②「持っていない」が解消に向かいます。

対策③:「あの人がいない日」をわざと作る

3つ目が一番大事で、一番やりにくい対策です。

属人化が本当に解消されたかどうかは、その人がいない日に初めてわかります。

だから、計画的に「あの人がいない日」を作ってください。

丸1日休んでもらう。その日に、書き出した手順書を見ながら他の人がやってみる。うまくいけば仕組み化が成功した証拠。つまずいたら、手順書に足りない部分が見つかった証拠。どっちに転んでも前進です。

「忙しいのに休ませるなんて無理だ」と感じるかもしれません。

でも考えてみてください。その人が計画的に1日休むのと、突然体調を崩して1週間いなくなるの。どっちが会社にとって怖いですか。

計画的な不在は、リスクではなくテストです。会社の弱点を安全に見つけるための訓練だと考えてください。

まずやること:社内で「この人が休んだら困る業務」を1つだけ挙げてみる

ここまで読んで、「うちも属人化してるな……」と感じた方。

まずやることは1つだけです。

「もしこの人が明日から1週間いなかったら、一番困る業務は何か?」を1つだけ挙げてみてください。

その1つが見つかったら、その業務の手順をA4用紙1枚に書き出してもらう。それをみんなが見れる場所に置く。たったこれだけで、「あの人がいないと回らない」は「あの人がいなくても、なんとか回る」に変わり始めます。

完璧じゃなくていい。1業務、1ページ、1つの置き場所。

それでもどこから手をつけていいかわからなかったら、ITに詳しい人に「うちの業務、何から整理すればいい?」と聞いてみてください。システムの話ではなく、業務の整理の仕方だけでも、外の目が入ると一気に進むことがあります。

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