年間更新費、機能の2割しか使っていないなら見直し時です
「紹介されたから」で選んだシステム、1年後に起きたこと
「取引先に紹介されたシステム会社があるんだけど、お願いしてみようと思って」
ある中小企業の社長から、そう聞いたのは1年以上前のことでした。
業務システムの導入は初めて。ITに詳しいわけでもない。でも取引先が「うちも使ってるよ」と言うなら間違いないだろう——。そんな感覚で導入を決めたそうです。
正直、その判断を責めることはできません。初めてのシステム導入で、何を基準に選べばいいかなんてわからない。信頼できる人の紹介なら安心感がある。ごく自然な流れです。
最初の数か月は「まあ、こういうものか」と使っていた。わからないことだらけだったけど、なんとか日々の業務は回っていた。
ところが1年後、年間更新のタイミングで届いた請求書を見て、社長の手が止まりました。
「この金額を払って、使っているのはほんの一部の機能だけじゃないか」
そう相談を受けたとき、私は「ああ、またか」と思いました。このパターン、本当に多いんです。
なぜ「高機能なシステム」ほど使われなくなるのか
これは社長の能力の問題ではありません。構造的な問題です。
大手向けに作られたシステムは、とにかく機能が多い。勤怠管理、在庫管理、顧客管理、経理処理、分析ダッシュボード……。何でもできるように設計されています。
でも、従業員10人前後の会社で、その全部が必要でしょうか。
実際に使うのは「見積書の作成」と「顧客リストの管理」だけかもしれない。それなのに、使わない機能の分まで含めた金額を毎年払い続けている。
たとえるなら、一人暮らしなのに5LDKの家賃を払っているようなものです。
なぜこうなるか。理由は3つあります。
1つ目は、「大は小を兼ねる」の思い込み。 機能が多いほうが安心だと思いがちですが、使わない機能は安心材料ではなく、ただのコストです。
2つ目は、導入時に業務の棚卸しをしていないこと。 「何ができるか」ではなく「何が必要か」から始めるべきなのに、システム会社の提案をそのまま受け入れてしまう。
3つ目は、導入後のサポート不足。 「あとはマニュアル見てください」で終わるケースが多く、結果的に簡単な機能だけ使って残りは放置になる。
どれも、システムを選んだ社長のせいではありません。「初めてだからわからない」のは当たり前で、それを前提にした提案がされていなかっただけです。
更新のタイミングは「見直しの最大のチャンス」
ただ、悪い話ばかりではありません。
年間更新のタイミングは、実は唯一、立ち止まって考えられる瞬間です。
日々の業務の中で「このシステム、本当にうちに合ってるかな」と考える余裕はなかなかない。でも更新の請求書が届いた時だけは、否が応でも「このまま続けるか?」を考えざるを得ない。
このタイミングを「面倒な手続き」と捉えるか、「見直しのチャンス」と捉えるか。その差は大きいです。
更新前に確認すべき3つのこと
更新の判断をする前に、ぜひ確認してほしいことがあります。難しいことではありません。
1. 実際に使っている機能を書き出す
システムの機能一覧を開いて、今、日常的に使っている機能だけにマルをつけてみてください。
「月に1回は使う」くらいを基準にするといいでしょう。驚くほどマルが少ないことに気づくはずです。
この作業をするだけで、「全体の何割を使っているか」が一目でわかります。
2. その機能だけなら、他の選択肢はないか考える
マルがついた機能だけを満たすなら、もっとシンプルで安いツールがあるかもしれません。
たとえば、見積書の作成と顧客管理だけなら、スプレッドシートと無料ツールの組み合わせで十分なケースもあります。あるいは、必要な機能だけに絞ったシステムに乗り換えるという選択肢もある。
大事なのは、「今のシステムを続けるか、やめるか」の二択ではないということ。「必要な機能を、適正な費用で使う方法」を探すという発想です。
3. 更新費の内訳を聞いてみる
意外とやっていない人が多いのが、これです。
更新費の中身が「サポート費」「ライセンス費」「保守費」などに分かれている場合、使っていない機能のライセンスだけ外せることもあります。
「内訳を教えてください」と聞くだけ。それだけで選択肢が増えることがあります。
「使いこなせない自分が悪い」は間違い
システムの更新費に疑問を持ちながらも、「でも使いこなせていない自分にも問題があるし……」と思っている社長は少なくありません。
断言します。それは間違いです。
使いこなせないのは、あなたの能力の問題ではなく、そのシステムがあなたの会社の業務に合っていなかったというだけの話です。
5LDKに住んでいて3部屋が空いているのは、住んでいる人の問題ではありません。家の選び方の問題です。
そして、家と違ってシステムは引っ越せます。しかも、年間更新のタイミングなら、違約金なしで。
必要なのは「もっと勉強しよう」ではなく、**「うちに合ったサイズのものを選び直そう」**という発想の転換です。
もし自分だけで判断するのが難しければ、ITに詳しい人に相談してみるのも手です。「今こういうシステムを使ってるんだけど、更新費が高くて」——その一言から始めれば十分です。
まとめ:今日やること
この記事を読んで「うちもそうかも」と思ったなら、やることは1つだけ。
今使っているシステムの機能一覧を開いて、使っている機能にマルをつけてみてください。
全体の何割にマルがつくか。それが、今のシステムがあなたの会社に合っているかどうかの、一番シンプルな答えです。